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私の話、貴方の話、セレクトショップ的な話、恋の話、夢の話、懐かしい話、カレーの話、府中の話、或いはニッチな日記。


by bb_sele
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店主の恋愛小説 第23話

走り出した時間は止まるのを忘れて、円を描きながら先に進んでいる。
俺は何処へ走っていけばいいのか?
あの日に置いてけぼりにされた美里の心と、今日を彷徨う俺の心を重ねてみた。
騒音と交わって美里の心が聴こえる。

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答えを見つけられないまま歩き疲れて、夜の訪れが気を滅入らせる。
俺が美里の母親に話そうとしている事は、本当に正しいだろうか。
もしかしたら、気が狂ったとでも思われやしないだろうか。

きっと答えはない。積み上げた先にきっと答えはあるんだと思う。
たったひとつの望むもの以外は、もう何も求めはしないし、望みもしない。
失われた煌びやかな場面、そしてこだまする二人の笑い声は、セピアの思い出ではなく、輝いた琥珀色の過去にする為にも、たったひとつ望むもの・・・・

俺は走った。立ち止まる位なら、まだ手に入らない方がましだ。
息が切れる。煙草の吸い過ぎか、血液の不足か。手首も拳も全てが自分の物では無いくらい激しく痛む。
信号が点滅している。
昔、点滅している信号を見て美里は、「綺麗だね」って、言った事があった。
その時は
「何言ってんだよ、信号も変わるし、皆変わるんだ。綺麗なままではいられないよ」
って、軽く流したけど、確かにこうして見ると綺麗かもしれない。
あの時の美里はどんな心を持ち合わせていたんだろうか・・・・
そんな過去の時空を歩いていると、突然のクラクションに驚いた。

脚がもつれる。やばい!!
トラック!!やばい!!
急ブレーキの音が始まった夜の端で、大きく響いた。


続く。
by bb_sele | 2007-03-16 12:33 | Web小説